デザインの核心:収縮色と膨張色の視覚的効果
デザインの際、色の選択は視覚的な印象を大きく左右します。色にはそれぞれ独特の特性があり、その特性を活かすことでデザインの質を高めることができます膨張色とは、赤や橙、白やパステルカラーのような明るい暖色系の色を指します。これらの色は空間や物体を広がって見えるようにします。例えば、狭い部屋を広く見せたいときや、特定の要素を強調したい場面での利用が考えられます。
一方、収縮色は、青や紫、そして黒や明度の低い暗い色などの寒色系の色を指します。これらの色は、空間や物体を狭く、また奥行きを感じさせる効果があります。特に、背景や影の部分での使用が効果的です。
囲碁の碁石の例は、色の視覚的な効果をうまく利用したものです。白石が自然に大きく見えるため、黒石とのバランスを取るためにサイズが調整されています。
色の特性を理解し、適切に利用することで、デザインの質を向上させることができます。
収縮色のメリットと向いているデザイン
収縮色をデザインに取り入れることで、様々なメリットが生まれます。例えば、サイト全体を引き締めて洗練された印象を与えたり、奥行きを出して特定の要素を際立たせたり、クールで知的な雰囲気を演出したりすることが可能です。特に以下のようなテーマや目的を持つサイトで効果的に活用できます。
高級感・洗練されたイメージの演出: 黒や濃紺、チャコールグレーなどを背景に、白やゴールドの文字やアクセントを配置することで、高級ブランド、宝飾品、高級車などのサイトにふさわしい重厚感と洗練された雰囲気を作り出せます。
奥行きと空間の表現: メインのコンテンツよりも背景に暗い収縮色を使うことで、手前の要素が際立ち、画面に奥行きが生まれます。写真や製品を際立たせたいポートフォリオサイトやECサイトで有効です。
クール・モダン・近未来的な表現: 青や青紫などの寒色系の収縮色は、IT企業、テクノロジー系メディア、SFをテーマにしたコンテンツなどで、クールで知的な印象や未来感を演出します。
集中力を高め、落ち着いた雰囲気を作る: ダークモードのように、暗い背景に明るい文字を配置するデザインは、長時間の読書や作業が想定されるサイト(例:プログラミングのチュートリアル、論文サイト、一部のニュースメディア)で、目の負担を和らげると感じるユーザーもいます。
収縮色のデメリットと向いていないデザイン
収縮色は落ち着きや引き締め効果がある反面、サイトのテーマによってはその特性がデメリットになることもあります。収縮色の使用は控えめにした方が良いでしょう。暖色系の色、特に赤や白は、サイトに明るさや活気をもたらします。一方、黒や青のような収縮色は、そのような明るいイメージを損なう可能性があります。
特に、若々しさやフレッシュな印象を目指すサイトでは、収縮色の使用は最小限に留めると良いでしょう。ただし、特定の要素を強調したい場合や、線をくっきりと見せたいときには、収縮色の効果を活用することができます。デザインの際は、収縮色と膨張色のバランスを考慮し、サイトの全体的なイメージや目的に合わせて色を選ぶことが重要です。
【収縮色(暗い色)使用時のアクセシビリティ】
黒や紺色など暗い色を背景に使う場合は特に、上に乗せる文字色には白や十分に明るい色を選び、誰もが読みやすいコントラスト比を確保することが不可欠です。明度が近い色同士(例:紺色の背景に紫色の文字)を組み合わせると、非常に読みにくくなります。WCAGなどのガイドラインを参考に、十分なコントラストを確保しましょう。
このように収縮色と膨張色を巧みに使い分けることで、視覚的な奥行きや情報の優先順位をコントロールできます。これは、Webデザインやグラフィックデザインにおける重要なレイアウトテクニックの一つです。
色が持つ視覚効果や心理効果を深く理解し、ブランドイメージやユーザー体験を向上させるための配色スキルを身につけたい場合は、専門学校やデザインスクールでデザインの基礎から体系的に学ぶことが、プロへの確かな一歩となります。
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