デザインに影響を与える進出色の特徴について

デザインにおける進出色の魅力

進出色(しんしゅつしょく)とは、背景や他の色よりも手前に飛び出して見えるような視覚効果を持つ色のことです。一般的に、赤、オレンジ、黄色といった「暖色系」で、なおかつ「彩度(鮮やかさ)が高い」色が進出色とされます。これらの色は人の視覚に強く訴えかけ、注意を引く力があります。

一方、青、青緑、青紫といった「寒色系」で、なおかつ「彩度が低い」色は、奥に引っ込んで見える効果があり、「後退色(こうたいしょく)」と呼ばれます。後退色は、背景として使うことで空間に奥行きを感じさせる効果があります。

デザインの世界では、これらの色の特性を巧みに利用することで、情報の際立たせたい部分や背景とのバランスを取ることができます。例えば、ポップなデザインや注目を集めたい広告などでは、進出色を効果的に使用することで、人々の視線を引きつけることができます。一方、落ち着いたデザインや奥行きを感じさせたい場面では、後退色を使用することで、より深みのあるデザインを実現することができます。

特に、暖色系の進出色は人々の注意を引き寄せる効果が高いため、看板や書籍の表紙など、一目で情報を伝えたい場面で多用されます。このような色の特性を理解し、適切に使用することで、デザインの効果を最大限に引き出すことができます。

進出色を使うのに向いているサイトの特徴

進出色はその強いアピール力から、ユーザーの注意を瞬時に引き、行動を促したいサイトで特に効果を発揮します。

  • セール・キャンペーンサイト: 「期間限定」「今すぐ購入」といった緊急性の高い情報を伝えるバナーやボタンに赤や黄色を使うことで、非常に目立ち、クリック率の向上が期待できます。
  • エンターテイメント・イベント系サイト: 音楽フェス、新作映画、ゲームの公式サイトなどで、楽しさ、興奮、活気といった華やかな雰囲気を演出し、ユーザーの期待感を高めます。
  • 子供向け・若者向けサービス: ポップで元気な印象が求められる商品やサービスのサイトで、楽しさや親しみやすさを表現するのに適しています。

【進出色と後退色を組み合わせるテクニック】

進出色を単体で使うだけでなく、後退色と組み合わせることで、より効果的なデザインが可能です。例えば、背景全体を後退色(濃い青など)にし、最も重要なボタンや情報に進出色(黄色など)を使うことで、進出色の「手前に飛び出す」効果が最大限に引き立てられ、非常に強い訴求力を生み出します。

進出色を使うのに向いていないサイトの特徴

しかし、進出色の使用は注意が必要です。落ち着いた雰囲気やシンプルなデザインを目指すサイトにおいては、進出色の使用は避けるべきです。進出色が多用されると、サイト全体が過剰に華やかになり、情報の優先度が読み取りにくくなる可能性があります。また、背景やテキストに進出色を多用すると、サイトが混雑して見えるリスクもあります。

進出色は、サイトの特定の部分を強調するためのツールとして使用するのが最も効果的です。例えば、キャンペーン情報や特定のコールトゥアクションボタンなど、ユーザーの注意を引きたい部分に限定して使用することで、サイトの情報構造やデザインのバランスを崩すことなく、効果的に情報を伝えることができます。進出色や後退色を使いこなすことは、視線誘導や情報階層の設計において、グラフィックデザインやWebデザインの基本的ながら非常に強力なテクニックです。

【進出色使用時のアクセシビリティ】
赤やオレンジといった彩度の高い進出色を背景に、他の色(特に青や緑など)の文字を乗せると、色がちらついて非常に読みにくくなる「ハレーション」が起きやすくなります。また、黄色を背景に白文字を乗せるなど、明度差が少ない組み合わせも避けるべきです。WCAGなどのガイドラインを参考に、十分なコントラスト比を確保し、色だけに頼らない情報伝達を心がけましょう。
色が持つ視覚効果を理論的に理解し、様々なデザインに応用できる実践的なスキルを身につけたい場合は、専門学校やデザインスクールでデザインの基礎から体系的に学ぶことが有効な手段となります。

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