膨張色の効果とは?明度を操りデザインを広く・大きく見せる方法

膨張色の本質と明度の影響

膨張色とは、主に明るい明度を持つ色のことで、同じ大きさの暗い色と比較して、膨らんで見えたり、より手前に出てきて見える(進出色とも呼ばれます)視覚効果があります。その主な要因は「明度(色の明るさ)」にあり、明度が高い色ほど膨張して見えやすくなります。代表的な膨張色には、最も明度が高い「白」をはじめ、「黄色」「オレンジ」「明るい赤」などの暖色系で明度が高い色が挙げられます。(※水色など寒色系でも明度が高ければ膨張して見えます。)

一方で、明度が低い色(黒、紺、深緑など)は、引き締まって見えたり、後退して見える効果があり、「収縮色(後退色)」と呼ばれます。

膨張色の特性をうまく活かすことで、例えば細身の人が明るい色の服を着ると、体格がふっくらして見える効果があります。

さらに、顔の周りに身につけるネックレスやイアリングなどのアクセサリーを膨張色にすることで、アクセサリーが実際よりも大きく見え、相対的に顔を小さく見せる効果が期待できます。また、部屋のデザインにおいても膨張色を活用し、壁を白や明るいアイボリーなどにすることで狭い空間を広く見せることができます。(ただし、壁全体に鮮やかな赤色など主張の強い膨張色を使うと、膨張して広く見える効果よりも、色の持つ圧迫感や心理的な興奮作用が勝ってしまい、落ち着かない空間に感じられる可能性があるため注意が必要です。)

膨張色の効果には明度との深い関係があります。同じ大きさでも、水色と紺色を比較すると、明度の高い水色の方が大きく見えます。ただし、明度が似た色を比較する場合、色相が異なっていても、見た目の大きさはあまり変わらないことがあります。

膨張色の特性を理解し、明度とのバランスを考慮することで、デザインにおいて空間や対象物の見た目を調整する効果的な手法となります。

膨張色を使うのに向いているサイトの特徴

膨張色は、白や赤、黄色などの暖色系の色を指します。これらの色は、子供や若い世代などをターゲットにしたサイトにおいて、ポップで楽しいイメージや華やかな雰囲気を演出するのに適しています。また、キャラクターや特定の要素を際立たせるためにも効果的に使用されます。

暖かい色は目を引き、人々の注意を引きつける特性を持っています。ウェブサイト内で特に目立たせたいコンテンツや要素に膨張色を使うことで、その部分が際立ち、注目を集める効果があります。膨張色は要素を拡張して見せる効果を持つため、サイト上で重要な情報やアクションを強調するのに適しているのです。
例えば、セール情報やキャンペーンバナーに赤や黄色を使うことで、ユーザーの目を引きやすくなります。また、CTA(Call To Action)のボタンに膨張色を取り入れると、クリック率の向上が期待できます。

膨張色を使うのに向いていないサイトの特徴

膨張色が必ずしも適した色とは限りません。例えば、クールなイメージを持つホームページを作成したい場合、黒や青などの寒色系の色が適しています。また、文字の可読性を重視する場合には、暗めの色を使用することが文字が見やすくなるでしょう。

膨張色を背景などに広範囲に使用すると、上に乗せる要素、特に文字の可読性に影響が出ることがあります。例えば、最も明度の高い白や黄色を背景にした場合、同じく明度の高い淡い色の文字(例:ライトグレー、淡い水色など)は非常によみづらくなります。鮮やかな赤やオレンジの背景に、補色に近い青や緑の文字を乗せる場合なども、色がちらついて見える(ハレーション)現象が起きやすく、読みにくさや目の疲れにつながります。

Webサイトにおいては、背景色と文字色のコントラスト比を十分に確保することが、アクセシビリティの観点からも非常に重要です。WCAGなどのガイドラインを参考に、誰にとっても読みやすい色の組み合わせを選びましょう。

また、暖色系の膨張色を多用しすぎると、サイト全体が落ち着きがなく、まとまりに欠ける印象になったり、目がチカチカして見づらくなる可能性もあります。使う面積や他の色とのバランスを考慮し、サイトのテーマや目的に合った色の選定を行うことが重要です。

膨張色は、空間や物の見た目をコントロールする上で、非常に効果的なツールです。その特性を理解し、適切な場所で使用することで、デザインの印象を大きく向上させることができます。ただし、使用する場面やバランスを考慮しないと、逆効果になることもあります。この記事でご紹介したポイントを参考に、膨張色を活かした魅力的なデザインを目指してみてください。

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